2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11330
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上川 裕子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 自己組織化 / 水素結合 / 液晶 / アミノ酸 / 葉酸 / キラリティー |
Research Abstract |
生体は、様々な分子間相互作用を協調して働かせることにより、精緻な秩序構造を自己組織的に構築し、優れた機能を発現している。本研究の主題は、液晶化という手法を用いて、生体分子である葉酸やアミノ酸を3次元的に超分子組織化し、さらに形成した自己組織構造を、外部刺激や環境によって自在に制御することにある。特に、葉酸のプテリン環が形成するディスク状4量体のカチオン選択的イオン認識能に着目し、一定の閾値を超えるイオン濃度に応答して、開閉を可逆的に行う動的ナトリウムイオンチャンネルの開発を試みた。 本年度の成果として、まずオリゴペプチドや葉酸の液晶化を行い、一次元カラム構造に超分子組織化することに成功した。ここでアミノ酸や葉酸の液晶化において、分子の形・分子間相互作用およびナノ相分離を適切に制御することで安定な超分子液晶を構築できることを見出した。 扇形の液晶性葉酸分子は多重の分子間水素結合を介してディスク状4量体を形成する。この4量体が積層して形成されたカラム状集合体は、内部の空孔にイオンを選択的に取り込み、超分子キラリティーの発現や、キュービック相の発現を行うことを示した。続いて、この液晶性葉酸誘導体と脂質二分子膜との複合化を行った。水溶液中、濃度勾配をかけてイオン輸送能を調べた結果、葉酸のカラム状集合体がカチオン選択的なイオンチャンネルとして機能することを初めて実証した。なお、この実験はスイスジュネーブ大学のマティル研究室との共同研究である。
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Research Products
(3 results)