Research Abstract |
本特別研究員が,平成17年度に重点的に行った超臨界二酸化炭素(scCO_2)中におけるアルミナの塩基触媒作用の研究結果をさらにまとめ,原著論文1報(研究発表,2番目参照)および総説1報(研究発表,4番目参照)を発表した.また,メソポーラスアルミナの塩基点に関する情報をさらに得る目的で進めていたNa担持メソポーラスアルミナの合成および強塩基触媒作用の結果をまとめ,原著論文1報(研究発表,1番目参照)を発表した.上記に加え,本特別研究員は,6年近く行ったTishchenko反応の研究経験を活かし,Tishchenko反応の総説を発表した(研究発表,3番目参照). 本特別研究員は,平成18年度,スイス連邦工科大学のA. Baiker教授研究室に出向し,連続流通式反応装置を使用してscCO_2中の不均一系触媒による有機化合物の水素化研究を行った.まず,シクロヘキセンのシクロヘキサンへの水素化を試行反応として様々な触媒を検索した結果,ある種の強Bronsted酸性担体へ,ある種の遷移金属を担持させた触媒が高活性を示すことを見出した(公表前につき触媒についての詳細な記述は不可).代表的な水素化触媒と比べると,その活性はPd/Al_2O_3よりもはるかに高く,Pd/Cに匹敵あるいはそれ以上である.また,その触媒の寿命が非常に長いことも見出した.この触媒自体は固体塩基触媒ではないが,反応は担体のBronsted酸点が多重結合に付加し,カチオン性中間体を発生させるところから始まると推察され,その中間体の生成が遷移金属クラスターに吸着しているヒドリドの求核的な付加を促進していると考えられる点で固体塩基触媒化学と関連がある.触媒のキャラクタリゼーションは,IR法およびXAFS法により常温常圧下およびscCO_2反応条件下で行った(公表前につき分析結果についての記述は不可).
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