2005 Fiscal Year Annual Research Report
真に効率的な直接的触媒的不斉炭素-炭素結合生成反応の開発
Project/Area Number |
05J11370
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 奨 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アルドール反応 / アミド / バリウム / 高アンチ選択的 / 触媒的 / 分子内転位 / エステル等価体 / 原子効率 |
Research Abstract |
真に効率的でアトムエコノミカルなアルドール反応の開発を目指し、まずエステル等価体を基質として用いる反応開発を行った。これまでに、β-ヒドロキシエステルやβ-ヒドロキシアミド等を合成する手法としては、当量以上の塩基を用いた金属エノラートのアルデヒドへの付加反応や、エステルやアミドから調製されるケイ素エノラートを用いた反応が知られているが、エステル等価体を用いて触媒量の塩基のみで進行するアルドール反応の例は現在までに報告されておらず、その開発が強く望まれている。始めに、用いるエステル等価体としてアミドを選択し、検討を開始した。その中で、反応系中でのアミドエノラートの生成しやすさや、エノラートの安定性、反応性などを考慮して窒素上の様々な置換基を検討した結果、アセトアニシジドをtert-ブチルカルバメートで保護した(N-Boc)アセトアニシジドが極めて有効に機能することを見いだした。このアミドは、アルカリ土類金属アルコキシド存在下、特にバリウムアルコキシド存在下でアルデヒドと速やかに反応し、アルドール付加体を高収率で与えることを明らかにした。さらに、得られてくる生成物は窒素上にあったtert-ブチルカルバメート基が酸素上に分子内で転位したものが得られてくることを確かめた。さらに、用いる基質としてプロピオン酸アミドを基質として用いることによって、高いanti選択性が発現することを見いだした。このジアステレオ選択性は、用いるフェノール性配位子のオルト位の置換基が大きくなるにつれて向上し、最高でsyn/anti=2/98の比率で目的物がほぼ定量的に得られることを見いだした。
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