2006 Fiscal Year Annual Research Report
tRNAアンチコドンwobble位の修飾ウリジンの翻訳における働き
Project/Area Number |
05J11429
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蔵田 真也 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | tRNA / wobble / タウリン / アンチコドン / 修飾 / 翻訳 / 塩基対 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
tRNA wobble位のタウリン修飾がU: G wobble塩基対を安定化する分子メカニズムを解明するため、立体構造解析を行った。まず、修飾を持つASL(アンチコドンステムループ)と修飾を持たないASLの2種類を、分子整形術と呼ばれる手法で大量調整しHPLC精製した。その後、ASLとmRNAを同時に30Sリボソームの結晶に浸み込ませて共結晶を作り、そのX線結晶構造解析を行った。 1度目の解析では、リボソーム結晶化の条件が悪かったためにASLとmRNAが結合せず、リボソームの共結晶が得られなかった。そこで2度目の解析では結晶化の条件を検討し、解像度も改善することが出来た。また、mRNAも塩基対の対合力を強めるためにU: A Watson-Crick塩基対になるUUAコドンを使用したところ、ASL-リボソーム-mRNAの共結晶を得ることに成功した。解像度はこれまでの中でも最も高い2.8Aであった。その後、条件検討を重ねた結果、U:G wobble塩基対となるUUGコドンでも共結晶が得られるようになった。 以上のX線結晶構造解析の結果、通常見られるwobble位ウリジン5位の修飾の挙動とは全く異なり、タウリン修飾中の硫黄原子がアンチコドン2字目と3字目の窒素原子と水素結合していることが判明した。これは、コドンとアンチコドンが対合する前に、タウリン修飾がそれらの塩基と相互作用していることを意味する。このことから、タウリン修飾はその相互作用を利用してコドンーアンチコドン対合に必要なエントロピーを減少させ、結果的にwobble塩基対を安定化していることが明らかになった。
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