2005 Fiscal Year Annual Research Report
tRNAアンチコドンwobble位の修飾ウリジンの翻訳における働き
Project/Area Number |
05J11429
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蔵田 真也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | tRNA / wobble / タウリン / アンチコドン / 修飾 / 翻訳 / 塩基対 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
tRNA wobble位のタウリン修飾がU:G wobble塩基対を安定化する分子メカニズムを解明するため、立体構造解析を行った。まず、修飾を持つASL(アンチコドンステムループ)と修飾を持たないASLの2種類を分子整形術で大量調整し、HPLC精製した。その後、ASLとmRNAを同時にリボソームの結晶に浸み込ませて共結晶を作り、そのX線結晶構造解析を行った。 1度目の解析では、リボソーム結晶化の条件が悪かったためにASLとmRNAが結合せず、リボソームの共結晶が得られなかった。そこで2度目の解析では結晶化の条件を検討し、解像度も改善することが出来た。また、mRNAも塩基対の対合力を強めるためにU:A Watson-Crick塩基対になるUUAコドンを使用したところ、ASL-リボソーム-mRNAの共結晶を得ることに成功した。解像度はこれまでの中でも最も高い2.6〜2.8Aであった。 以上のX線結晶構造解析の結果、通常見られる5位の修飾の挙動とは全く異なり、タウリン修飾中の硫黄原子がアンチコドン2字目と3字目の窒素原子と水素結合している可能性を示唆するデータが得られた。これは、リボソームは高度好熱菌から調製しており、哺乳動物ミトコンドリアのみに見られるタウリン修飾は他の生物のものと比べて非常にかさ高く、構造が歪められているためであると解釈することができる。しかし他の可能性も十分残されており、現在構造の絞込み中である。また、U:G wobble塩基対となるUUGコドンにおける共結晶解析のデータも収集中である。
|