2005 Fiscal Year Annual Research Report
陸稲栽培における耐乾性および収量の評価と遺伝的変異の解析
Project/Area Number |
05J11487
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 洋一郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 陸稲 / 耐乾性 / 収量形成 / QTL解析 |
Research Abstract |
近年、灌漑陸稲栽培を含む節水稲作システムの開発がアジアを中心に進められている.優良水稲品種の多くは畑条件において収量が低く,畑栽培に適応した優良系統の育成が必要である.ところで水田条件では収量シンクサイズが収量に大きく影響することが知られている.畑条件においても同様の可能性があり,穂形質への着目が収量形成を検討する際に有効であると考えられる.そこで本研究では,まず,根系分布の異なる品種を用いて栽培試験を行い,生育中盤の一時的な土壌乾燥下では土壌深層に根系を発達させる深根性品種がシンクサイズ(単位面積あたり穎花数)を相対的に維持することによって有利となることを明らかにした.さらに,土壤乾燥下では植物体の水分状態を高く維持することが穂のサイズ(1穂穎花数)を大きく維持することに有効であることを示唆した.また,水稲品種アキヒカリ×深根性陸稲品種IRAT109の戻し交雑由来組換え近交系を用いて,水田および畑における収量形成および穂形成に関する量的形質遺伝子座(QTL)解析を通じて,畑条件への適応に関して遺伝学的に検討した.その結果,いくつかの遺伝子座について穂形態形質に関するQTLと収量構成要素のQTLが同一領域に検出され,これらの量的形質に関して生理・遺伝的な関連が示唆された.さらに畑圃場における,土壤乾燥応答に対する穂形態形質の遺伝制御を,QTL解析を通じて明らかにした.
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