2005 Fiscal Year Annual Research Report
挿入因子IS1がコードするトランスポゼースの構造と機能に関する研究
Project/Area Number |
05J11501
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 信哉 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | トランスポゾン / トランスポゼース / 組み換え / ホリデージャンクション |
Research Abstract |
IS1トランスポゼースにおける転移中間体構造特異的なDNA結合活性 トランスポゾンの転移は、トランスポゼースが両IRに結合した後、トランスポゼースの2量体形成により、両IRが近接した形の安定な複合体であるトランスポソゾームを形成することによって起こると考えられている。このような複合体においてトランスポゼースは、IR特異的DNA結合活性に加え、転移中間体中の少なくとも4本のDNA鎖が交叉した、ホリデー様構造に特異的なDNA結合活性を持つことにより、安定な複合体であるトランスポソゾームを形成しているのではないかと考えた。そこで、IRを含まないホリデー構造をとるX字形の基質を作成し、これを用いてトランスポゼースが結合するかどうか調べた。その結果、トランスポゼースはX字型DNAに結合し、2つのトランスポゼース分子が結合した複合体を形成することを見出した。また、トランスポゼースはX字型のみならず、Y字型DNAにも結合すること、この場合には1つのトランスポゼース分子が結合した複合体を形成すること、さらに、IR配列を持たない2本鎖DNAには結合しないが、バルジ構造を持つ2本鎖DNAには結合することが分かった。これらの結果は、トランスポゼースが折れ曲がった2本のDNAを認識するという構造特異的DNA結合活性を保持していることを示唆する。このことは、トランスポゼースがIR特異的DNA結合活性に加え、構造特異的DNA結合活性を保持することにより、安定な複合体であるトランスポソゾームを形成するという上記の仮説を支持する。次に、トランスポゼースのどの領域が上記の活性に関わっているか、いくつかのトランスポゼース欠失変異体を用いてX字型あるいはY字型DNAへの結合を調べた。その結果、トランスポゼースのN及びC末領域が、両基質への結合に関わっていることが分かった。また、N末領域においてはジンクフィンガーモチーフ、および、ジンクフィンガーとヘリックス-ターン-ヘリックスモチーフの間に存在するヘリックス領域が、C末領域においてはDDEモチーフの存在する領域が、この活性に関わることが分かった。
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