2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11524
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
峰岸 有紀 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ウナギ属魚類 / 集団構造 / 種分化 |
Research Abstract |
ウナギ属魚類15種は世界中に広く分布し,淡水域の成育場と外洋域の産卵場の間で降河性の回遊を行う.このウナギ属魚類の系統関係は解明されたが,依然としてウナギ属魚類がいつどこで派生し,どのように分散したかという進化と分散過程の詳細は不明である.これを明らかにするためには,ウナギ属魚類の種分化のメカニズムを解明する必要がある. そこで本研究では,種分化の前段階としての集団の分化に着目した.まず,ウナギ属の中でも特に広域に分布し,複数集団に分化する可能性の高いオオウナギA.marmorataと,それと分布域の重複するA.bicolorの解析を行った.標本は,オオウナギは分布域を網羅するようにインド洋西部から太平洋東部,および北部までの計13地点から474個体を採集したA.bicolorは,インド洋西部のレユニオン,セイシェル,マヨット,マダガスカル,インド洋東部のスマトラ,および太平洋のフィリピンの計6地点から145個体を採集した.これらすべての標本について,マイクロサテライト遺伝子座とミトコンドリアDNAの調節領域の塩基配列を用いて,集団遺伝学的解析を行った.その結果,オオウナギは,北太平洋,南太平洋,インド洋,およびグアムの4集団から成ることが明らかとなった.他方,A.bicolorは,インド洋と太平洋は明瞭に分化していたが,インド洋の東西には遺伝的な差異は認められなかった.ウナギ属魚類では,従来,インド洋の東西では集団が分化していると考えられていたが,本研究で解析した2種の結果から,インド洋の東西を繋ぐ何らかの機構があることが推測された.
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