2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11524
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
峰岸 有紀 東京大学, 海洋研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ウナギ属魚類 / 集団構造 |
Research Abstract |
ウナギ属魚類15種は世界中に広く分布し,淡水域の成育場と外洋域の産卵場の間で降河性の回遊を行う.このウナギ属魚類の系統関係は解明されたが,依然としてウナギ属魚類がいつどこで派生し,どのように分散したかという進化と分散過程の詳細は不明である.これを明らかにするためには,ウナギ属魚類の種分化のメカニズムを解明する必要がある. そこで本研究では,種分化の前段階としての集団の分化に着目した.前年度中に,ウナギ属の中でも特に広域に分布するオオウナギAnguilla marmorataと,それと分布域の重複するA. bicolorについて,マイクロサテライト遺伝子座とミトコンドリアDNAの調節領域の塩基配列を用いて,集団遺伝学的解析を行った.その結果,オオウナギは,北太平洋,南太平洋,インド洋,およびグアムの4集団から成り,A. bicolorはインド洋と太平洋で明瞭に分化していることが明らかとなった,今年度はさらに,オセアニアに生息するA. australisについても,オーストラリアとニュージーランドから採集した計73個体を用いて同様に解析を行い,わずかながらオーストラリアとニュージーランド間に遺伝的な差異があることを示した.本研究で明らかになったウナギ属各種の集団構造から,ウナギ属魚類は,例えば,産卵場の場所や数,回遊経路,回遊規模,産卵期間など,集団独自の回遊生態を持つことで,各々の繁殖集団を維持している(または,他の繁殖集団と隔離している)と考えられた. 現在,これらの結果を原著論文にまとめ,投稿する準備を進めている.
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