2006 Fiscal Year Annual Research Report
魚類個体群における種内二型の維持に対する捕食行動の影響について
Project/Area Number |
05J11527
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
中嶋 美冬 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 左右性 / 魚類 / 種内二型 / 補食行動 / 頻度依存淘汰 / 交差補食 / 並行補食 |
Research Abstract |
魚類において、筋肉・骨格が体の左右で異なることが知られている。これを左右性と言い、右(左)体側が発達している個体を右(左)利きと言う。現在、左右性が魚類において普遍的に見られる種内二型であることを、研究代表者を含む研究チームが確認しつつある。同時に、全種に共通して用いることができる利き判定指標の計測方法が確立された。このことにより、種間の利きの大きさを比較することが可能となり、食性や系統的な古さとの関係を検討することが可能となった。 また、右(左)利きの捕食者は左(右)利きの個体を多く捕食することが知られている。このように捕食者と被食者の利きが逆である捕食を交差捕食、利きが同じである捕食を並行捕食と名付けた。本研究は、食う-食われるの関係を介して右利きと左利きにおいて頻度依存淘汰が起きていることを示唆する数理モデルを発表してきた。一方で、自然界で交差捕食が卓越している理由はまだ明らかになっていない。そこで、捕食行動に体の非対称性が影響しているのではないかと考え、オオクチバスを用いた実験を行った。魚が静止状態から急発進する際には体の左右一方を縮めてから逆方向へ跳ねることで推進力を得ることが多いが、この縮める側が利きの側であり、跳ねた方向は利きと逆であると予想される。実験結果からも、体の左体側が発達している左利きは右方向へ、右利きは左方向へ跳ねることが示唆された。結果は論文として投稿中である。さらにこの結果をアメリカ生態学会年会や日本水産学会関東支部会等で発表した。
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