2005 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報および遺伝的特性を基盤とした魚類温度適応機構に関する研究
Project/Area Number |
05J11531
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平山 真 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 温度適応 / マイクロアレイ / ゲノム / 地域集団 / 遺伝子発現解析 |
Research Abstract |
メダカは0℃付近から35℃を超える温度で生息が可能な広温域製魚類である。また、日本国内外に明確な地域集団が存在し、遺伝的多様性が大きく、EST解析やゲノム解析による遺伝情報の蓄積も著しい。本研究では、メダカ温度適応機構の解明を目的とし、本年度は、種々の地域集団由来培養細胞を対象に、細胞レベルでの温度適応能と温度変化に伴う遺伝子発現変化を調べた。 北日本、南日本および東韓集団メダカ、および近縁種の東南アジア地域生息セレベスメダカ由来培養細胞の計10株につき、温度移行に伴う細胞数の変化を調べた。その結果、北日本および東韓集団由来細胞は、33℃から15℃へ移行後、顕著な増殖を示した。一方、南日本集団由来細胞およびセレベスメダカ由来細胞ではこの温度で、細胞数は一定もしくは減少傾向にあり、地域集団間で15℃での増殖能に差があることが明らかとなった。 次に、メダカESTライブラリーを利用して約3,500cDNAからなるマイクロアレイを作製した。25℃で1ヶ月以上継代した北日本および南日本集団由来細胞、それぞれOLHNI-e1およびOLHdrR-e3株を、両株間で細胞増殖能に差がみられた15℃へ移行後、0、3、12時間、および1、3日目に細胞を採取し、上記cDNAマイクロアレイを用いて遺伝子発現解析を行った。遺伝子発現プロファイルを比較し、ANOVAによる統計解析を行ったところ、15℃移行後3日目で127クローンのmRNA蓄積量が両株間で有意に異なった(P<0.05)。これらのクローンは細胞増殖、シグナル伝達、代謝および転写など様々な機能に関わる遺伝子が含まれ、北日本および南日本集団由来細胞間で15℃における代謝応答が大きく異なることが明らかとなった。今後、メダカゲノムデータベースを利用し、発現挙動が類似する遺伝子群の転写調節領域の比較により、温度依存的な遺伝子発現の機序モデルを提案する。
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Research Products
(2 results)