2006 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報および遺伝的特性を基盤とした魚類温度適応機構に関する研究
Project/Area Number |
05J11531
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平山 真 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 温度適応 / マイクロアレイ / ゲノム / 遺伝子発現解析 / メダカ / Gene Ontology |
Research Abstract |
メダカは0℃付近から35℃を超える温度で生息可能であり、EST解析やゲノム解析による遺伝情報の蓄積も著しい・本研究では、メダカ温度適応機構の解明を目的とし、本年度は、メダカ培養細胞を対象に、温度変化に伴う遺伝子発現変動を網羅的に調べ、発現変動を示した遺伝子につきGene Ontology(GO)解析を行った。 まず、北日本集団メダカ由来細胞OLHNI-el株を継代温度の25℃から15℃へ移行し、移行7日以内の経時的な遺伝子発現変動を、約3,500遺伝子を含むcDNAマイクロアレイを用いて調べた。 15℃処理により発現変化がみられた313遺伝子につき、GO termに基づき17群の生体反応のクラスターに分類した。その結果、タンパク質の生成および修飾、糖質および核酸代謝、細胞構造および形態形成の各クラスターに含まれる遺伝子の発現パターンが15℃処理により大きく変化することが明らかになった。 次に、上記解析により、温度移行後の初期に顕著な発現変動が認められたcysteine-rich angiogenic inducer 61遺伝子につき、北日本集団メダカ由来細胞OLHNI-el、Odate-elおよびKino-e2株を対象に、25でから15および5℃へ培養温度を下げ、移行24時間以内の経時的なmRNA蓄積量の変化を定量的RT-PCRにより調べた。その結果、全ての細胞株で温度移行1時間後からmRNA蓄積量の増大が認められ、また、その増大は15℃より5℃で大きかった。本遺伝子の5'上流転写調節領域1kbをメダカ・ゲノムデータベースより取得しモチーフ解析したところ、免疫や細胞増殖に関係するシグナル伝達に重要な転写因子NFkBの結合領域が複数みられた。この結果は、NFkBカスケードが魚類の低温適応に関与する可能性を示した報告(Hirayama et al.,2006)と一致した。
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