2005 Fiscal Year Annual Research Report
栄養状態変化に対するマウスDNAメチル化プロファイルの変動性に関する研究
Project/Area Number |
05J11557
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 英樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DNAメチル化 / エピジェネティック / エピジェネティクス / 脂肪細胞 / 栄養 / 細胞分化 / プロファイル / 階層的クラスタリン |
Research Abstract |
DNAメチル化は細胞分裂後のゲノムに複製される、細胞固有の情報を維持伝達するエピジェネティクス機構である。哺乳類においてDNAメチル化は遺伝子サイレンシングやクロマチン構造の凝縮を起こし、組織特異的遺伝子発現、細胞分化などに関与している。すなわち、ゲノムワイドなDNAメチル化プロファィルが、細胞のエピジェネティック情報の主体である。本研究ではメチル化プロファイルが栄養状態など細胞の代謝状態の変化に対してどの程度安定であり可変的であるか、個体のエネルギー対象の上で重要な白色及び褐色脂肪細胞を対象にして解析を行った。マウス白色前駆脂肪細胞in vitro系の脂肪蓄積過程におけるメチル化プロファイル解析を行った。RLGS法による約1,100のNotI座位のメチル化状態解析、Vi-RLGS法によるメチル化変動座位の予測、159のNotI座位の定量的リアルタイムPCR及びPyrosequenceによるメチル化状態解析を行い、脂肪蓄積過程でメチル化状態が変化する座位を同定した。またメチル化変化パターンとして一方向遷移と一過的変化が見出され、脂肪蓄積過程でメチル化プロファイルが柔軟に変化することが明らかになった。さらにマウス組織・幹細胞におけるメチル化プロファイルの類似度比較及びプロファイル構成座位のゲノム情報解析を行い、白色及び褐色脂肪細胞とその前駆細胞、及びその他の各種組織・細胞のメチル化プロファイルについて、階層的クラスタリング法による類似度解析を行った。メチル化プロファイルは形質上の類似性を反映することが確認された。さらに脂肪細胞系列間でのメチル化プロファイルはその他の組織・細胞よりも類似度が高いことが明らかになった。代謝状態に応じてメチル化状態は個別の座位では柔軟に変動するものの、プロファイル全体では細胞系列の範囲内での類似性を保ち安定であることが示された。
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