2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11559
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大浜 剛 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 消化管 / 運動機能障害 / TNFα / IL-1β / 平滑筋細胞 / 収縮 / CPI-17 |
Research Abstract |
これまで私は「消化管運動機能不全の分子機構」を解明する糸口として、まず炎症性サイトカインであるIL-1βの長期作用が消化管平滑筋細胞自身に機能異常をきたすとの仮説を立て、消化管平滑筋組織培養法を用いた検討を行い、IL-1βの消化管への長期暴露は、平滑筋収縮機構の中で特にミオシン軽鎖フォスファターゼ(MLCP)を阻害する内在性タンパク質CPI-17の発現量を顕著に減少させるとともに、MLCP調節サブユニットMYPT-1とCPI-17のリン酸化を減弱させることでミオシンフォスファターゼ活性を増強させることで平滑筋収縮能を低下させることを報告した(Journal of Biological Chemistry,278:48794-48804,2003)。 そこで、今回私はさらにin vivoの腸炎モデルにおける運動機能障害とCPI-17の関係の検討を行った。また、サイトカインネットワークによるCPI-17発現抑制機構を解明するために、各種サイトカインノックアウトマウスと組織培養法を用いて、以下の知見を得た。 1.急性腸炎モデルであるTNBS誘発腸炎、慢性炎症モデルであるIL-10KOマウスにおいて収縮力とCPI-17発現量の低下が認められた。 2.IL-1α/βKOマウスの回腸平滑筋組織にTNF-αを処置すると、収縮力およびCPI-17発現量が低下したのに対し、TNF-αKOマウスの回腸平滑筋組織にIL-1βを処置しても影響がなかった。 3.TNBS誘発腸炎により、TNF-αKOマウスではCPI-17発現が変化しなかったのに対して、IL-1α/βKOマウスではwild typeのマウスよりも顕著なCPI-17発現量の低下が観察された。 以上の結果から、IL-1βはTNF-αを介してCPI-17発現抑制による収縮力の低下を引き起こすことが示唆された(Gut,投稿中)。
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Research Products
(1 results)