2005 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞を用いたウイルス感染症に対する新規免疫療法の開発
Project/Area Number |
05J11565
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水越 文徳 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ネコ免疫不全ウイルス / 後天性免疫不全症候群 / 膜融合阻害 |
Research Abstract |
HIVが標的細胞に侵入する際には、エンベロープタンパク質のgp41が細胞膜に挿入され、3本のgp41のN末端heptad repeat 1(HR1)領域とC末端HR2領域が6-helix bundleを形成し、ウイルスと標的細胞の膜融合が成立する。HIVのHR2由来のペプチドC34は、HR1領域に結合し、6-helix bundle構造の形成を阻害することで、優れた抗HIV活性をもつが、溶媒中の安定性がないために臨床応用には至らなかった。その後、グルタミンとリジンでsalt bridgeを形成させて水溶性を高めるXEEXXKKコンセプトの応用で、その水溶性と安定性が増すことが示された。FIV gp41のHR1領域とHR2領域の配列を基に作製したFIV-C35とFIV-N36、XEEXXKKコンセプトを基に作製したFIV-C35EK1、FIV-C35EK2とFIV-C35EK3の抗FIV活性を検討した。CXCR4発現HeLa細胞とFIV持続感染CRFK細胞の共培養系にFIV-C35またはFIV-C35EK1を添加した場合、合胞体形成が阻害された。また、FIV-C35またはFIV-C35EK1の存在下でFIV感受性のネコリンパ系細胞株(MYA-1)にFIVを感染させたところ、用量依存的に培養上清中の逆転写酵素活性の低下が認められた。一方、gp41のHR1配列由来のFIV-N36と相互作用面と予想される部位の領域においてグルタミンとリジンを置換したFIV-C35EK2およびFIV-C35EK3は抗FIV活性を示さなかった。新たに開発された膜融合阻害剤のうちで強力な抗ウイルス活性を示すペプチドを同定することができた。 これらの研究は、FIV感染症に対する新規治療法の開発だけではなく、ヒトのAIDSに対する治療法の進展にも寄与するものと考えられる。
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