2005 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス感染植物におけるマイクロRNA蓄積異常と病徴との関係についての解析
Project/Area Number |
05J11577
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗原 志夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | タバコモザイクウイルスTMV / miRNA / RNAi / DCL1 / HYL1 / RNAi抑制遺伝子 |
Research Abstract |
タバコモザイクウイルスTMVが感染した植物シロイヌナズナでは、ほとんどのmiRNAの蓄積が増加することがわかった。このメカニズムを調べるためには、miRNA生合成経路の解明が必要である。そこで、植物のmiRNA生合成経路の解明およびTMV感染におけるmiRNA蓄積異常の解明を本研究の目的とした。 miRNA前駆体をノーザンブロット法を用いて検出する実験系を構築し、miRNA前駆体の切断をタンパク質DCL1が触媒することを明らかにしてきた(Kurihara and Watanabe,2004,PNAS 101,12753-58)。さらに、タンパク質HYL1のmiRNA生合成への関与が示唆されていた。hyl1変異植物におけるmiR163生合成を調べたところ、ノーザン解析において前駆体の蓄積の増加とmiRNAの蓄積の減少が検出された。免疫沈降法を用いた実験から、DCL1とHYL1が複合体を形成することがわかった。以上より、HYL1とDCL1が相互作用することによって前駆体が効率的に切断されることが示唆された(Kurihara et al,2006,RNA12,206-212)。 TMVがコードする複製酵素はRNAi抑制活性をもつ。複製酵素がmiRNA経路に及ぼす影響を調べるために一過的発現系による解析手法を用いた。複製酵素とmiRNAを共発現すると、コントロールと比較して前駆体、miRNAの蓄積には差はみられなかった。しかし、生合成のときmiRNAとともに切り出されるmiRNA^*の蓄積が増加していた。さらに、標的mRNAとmiRNAを共発現すると、標的mRNAはmiRNAによって抑制されたが、複製酵素を共発現させることによって、miRNAの抑制機能は解除された。以上の結果から、複製酵素はmiRNA/miRNA^*duplexを安定化し、miRNAの機能を抑えていることが示唆された。
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