2005 Fiscal Year Annual Research Report
糸状性シアノバクテリアにおける新奇センサ-PASドメインの同定
Project/Area Number |
05J11585
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
成川 礼 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シアノバクテリア / 情報伝達 / PASドメイン / 光センサー / レドックスセンサー / 進化 / 比較ゲノム / オルソログ |
Research Abstract |
先行研究において、我々は糸状性シアノバクテリアAnabaena sp.PCC 7120の網羅的比較ゲノム解析により、25個のPASドメインを推定センサーPASドメインとして見出してきた。この中には、1つの推定ヘム結合PASドメインと2つの推定フラビン結合PASドメインが存在した。推定ヘム結合PASドメインに関しては、レドックスに応答しうるセンサーであることを明らかにした。 本研究においては、2つの推定フラビン結合PASドメインと全く機能が予測できない22個のPASドメインに関して、センサーとしての機能を探索した。Anabaena 7120には3つの推定フラビン結合PASドメインが存在し、2つは近縁種とオルソログ間で保存されているのに対し、残り1つは保存されていない。これらについて大腸菌でヒスタグ融合タンパク質として発現・精製したところ、前者2つは実際にフラビンを結合し、青色光に応答したのに対し、後者は全くフラビンを結合しなかった。このことは、先行研究における「進化的に保存されたPASドメインがより機能を保持する」という予測を裏付ける結果となっている。青色光に応答する2つのPASドメインに関しても、光応答性において有意な違いが検出され、機能分化していることが明らかとなった。全く機能が予測できない22個のPASドメインに関しても、全て大腸菌でヒスタグ融合タンパク質として発現・精製した。その結果、1つのPASドメイン以外全て精製することに成功した。これらの精製タンパク質について、吸収スペクトルの測定とICPによる金属定量により、新奇のリガンドの同定を目指したが、現在までのところ、新たなリガンドの同定には至っていない。今後、HPLCなどにより、更なるリガンドの同定を目指す。また、いくつかのPASドメインについて、DTT有無でのSDS-PAGEにより、酸化還元状態に応答して分子内・分子間ジスルフィド結合を形成することが明らかとなった。これらのPASドメインはレドックスセンサーとして働いている可能性が考えられる。
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