2005 Fiscal Year Annual Research Report
微小管を介して染色体分離及び細胞形態に関与する新規低分子量G蛋白質の解析
Project/Area Number |
05J11596
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡井 拓郎 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 低分子量G蛋白質 / Ras / 細胞内シグナル伝達 / 微小管 |
Research Abstract |
現在まで詳細に解析が進められている既存の低分子量G蛋白質ファミリーは,細胞外からの刺激に応答したシグナル伝達のオン・オフを担う制御因子として重要な役割を果たしている。一方,我々が見出したDi-Ras, Gieをはじめとする新規低分子量G蛋白質群は固有の生化学的特性をもち既存の因子とは異なる生物現象に関与していると考えられる。私はこれらの因子の発現時期及びその細胞内局在の変化に注目することで新規蛋白質群の活性制御機構が解明できると考えている。また,これらの相互作用因子を同定することで新規蛋白質群が関与するシグナル伝達機構を解明できると考えている。そこで,前者に関しては細胞内過剰発現系やRNA干渉法による発現抑制系を用いた表現型の観察を,また後者に関しては質量分析を用いて相互作用因子の同定を行うことでこれら新規低分子量G蛋白質群の機能解析を網羅的に行い,低分子量G蛋白質ファミリーの共通点及び多様性を明らかにすることを目的に研究を進めている。 本年度はこれらの新規蛋白質群のうち,多細胞生物に高度に保存されているGieについて以下に示す知見を得た。 (1)内在性Gieは間期において主にGTP型でそんざいするが,細胞分裂期になるとGDP型が増加することを見出した。 (2)細胞分裂期に増加したGDP型GieがNir2という因子に相互作用することを見出した。 現在はこのNir2がGieのシグナル伝達にどのように関与しているかを詳細に検討するとともに,Gieの下流因子を探索するために質量分析や酵母Two-hybridスクリーニングを用いた相互作用因子の探索を行い,Gieの染色体分離における制御機構の解明を進めている。
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