2005 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチド核酸を用いた生細胞内のRNA動態の1分子リアルタイムイメージング
Project/Area Number |
05J11597
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡部 弘基 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | mRNA / 蛍光イメージング / 人工核酸 / 2'OMe-RNA / PNA / ハイブリダイゼーション / 細胞 / FRET |
Research Abstract |
本研究は蛍光イメージングにより細胞内の特定のmRNAをリアルタイムに観察することを目指している。特定のmRNAを可視化するために、異なる蛍光団で標識した2種アンチセンス人工核酸の標的RNAへの相補結合に伴うFRETによる検出を考案した。人工核酸として2'OMe-RNAとペプチド核酸を用いてプローブの設計及び調製を行い、以下の三点を達成した。 1.蛍光分光器を用いた評価 プローブの標的mRNAとの結合能を、蛍光分光器にて評価した。in vitroに調製した標的RNAであるhuman c-fos mRNAとアンチセンス核酸との混合前後の蛍光スペクトルの変化から、設計及び調製したプローブが標的RNAの配列特異的に結合することが分かった。 2.細胞内におけるmRNAの選択的な検出 生きた細胞内でmRNAを選択的に検出するために、in vitroに調製したc-fos mRNAを2種のプローブとハイブリダイズさせた後にマイクロインジェクションによりCos 7細胞の細胞質へ導入した。プローブの分布をイメージングにより観察した結果、アンチセンス人工核酸を用いた時に未結合のプローブと区別して細胞質に分布しているmRNAを検出することが出来た。 3.細胞内における内在性のmRNAの検出 内在性のmRNAを検出するためにc-fos mRNAの哺乳類細胞発現用ベクターを作成し、c-fos mRNAを大量発現させたCos 7細胞に2種のプローブのみをマイクロインジェクションし、イメージング観察を行った。導入した人工核酸の大部分は核内へと流入して蓄積し、細胞質において標的mRNAに基づくFRET蛍光は観察されなかった。核内への流入を防ぐためストレプトアビジンを結合させたアンチセンス核酸を別途に調製し同様に細胞内へ導入したところ、プローブは細胞質のみに分布し、標的mRNAと結合していることが確認された。
|