2006 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチド核酸を用いた生細胞内のRNA動態の1分子リアルタイムイメージング
Project/Area Number |
05J11597
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡部 弘基 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | mRNA / 蛍光イメージング / 2'0-methy1 RNA / 蛍光相関分光法 / 細胞 / アンチセンス分子 / FRET |
Research Abstract |
本研究は、生きた細胞内に内在している特定のmRNAを特異的に検出し、さらにその発現量を定量化することを目的として行った。特定のmRNAを可視化するために、異なる蛍光団で標識した2種アンチセンス分子の標的RNAへの相補結合に伴うFRETによる検出を考案した。前年度までに、人工核酸アンチセンスプローブを用いて、生きた細胞内に内在するc-fos mRNAのリアルタイムイメージング法を確立した。 本年度は確立したmRNA検出法を応用して、生きた細胞内における内在性mRNAの定量化を試みた。細胞内に導入したアンチセンスプローブは、細胞に内在するc-fos mRNAとの結合により分子量が増大するため、蛍光相関分光法(FCS)により未結合のプローブと分離して定量できると考えた。 まずin vitroにて、c-fos mRNAの定量を行った。チューブ内でc-fos mRNAとCy3標識アンチセンス2'O-methyl RNAプローブを混合後、FCSにより解析した。mRNAとの結合型及び非結合型のプローブを、それぞれの拡散時間の違いから分離して定量することが出来た。さらに、一定濃度のmRNAと混合した種々濃度のアンチセンスプローブのFCS測定を行い、その結合比率から、アンチセンスプローブとc-fos mRNAとの解離定数を算出した。得られた解離定数と結合率から算出したmRNAの濃度は、吸光度から定量した濃度とほぼ一致した。続いて、定量法を生きた細胞内に応用するためCos7細胞にプローブを導入後、FCS解析を行った結果、細胞内においても、mRNAとの結合型、非結合型のプローブを同様に分離して定量することが出来た。さらに導入したプローブ濃度と結合率から、細胞内における解離定数を算出し、同様に個々の細胞における内在性c-fos mRNAの濃度の定量を初めて達成した。
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