2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞の分化に伴う微小管および液胞による形態形成と機能獲得の制御機構の解析
Project/Area Number |
05J11627
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小田 祥久 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 細胞分化 / 形態形成 / 液胞 / 細胞骨格 / 細胞壁 / ヒメツリガネゴケ / 道管 / 分化全能性 |
Research Abstract |
本研究課題では、植物細胞が有する分化全能性の解明を目指し、植物細胞の分化メカニズムを、細胞全体を覆う細胞壁と、細胞内部の90%以上の体積を占める液胞の二つの面に着目して研究を進めています。また、細胞壁と液胞の形成を制御する因子として、細胞骨格の可視化と動態解析を行いました。 (1)細胞壁に関しては、私が独自に確立したIn Vitro細胞分化誘導系を用いて実験を進めました。この実験系では、微小管、アクチン繊維、および液胞膜を可視化することにも成功し、細胞壁の形成に伴う細胞骨格の動態を追跡することが可能になりました。実際、微小管の動態に関して新知見を得ることができました。さらに、微小管やアクチン繊維、液胞膜の動態を統合的に解析するために、計算機シミユレーション・システムの開発を新規に行いました。このシステムでは独自のアルゴリズムを1開発・実装することにより高速な細胞シミュレーションが可能です。5000種以上ものパラメータセットを用いた網羅的な解析により、微小管同士の相互作用が細胞壁の形成における必要条件であることが判明しました。 (2)液胞に関しては、体の構造が単純であり、細胞の分化・成長の解析に適したヒメツリガネゴケを用いて解析を進めています。これまでに蛍光たんぱく質融合遺伝子を導入することによって、ヒメツリガネゴケの液胞膜と微小管を同時かつ恒常的に可視化することに成功しました。その結果、液胞が予想外に複雑な構造と動態を呈していることと、それらが微小管に依存していることが判明しました。また、高圧急速凍結法を用いて透過型電子顕微鏡像を得たところ、微小管と液胞膜が何らかのリンカーたんぱく質によって直接結合されていることが明らかになりました。 このように本研究課題では、細胞分化において必須な存在である細胞壁と液胞が、細胞骨格によって制御されるメカニズムの重要な側面を明らかにすることに成功しました。
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Research Products
(1 results)