2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11640
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江下 以知子 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 請負 / 都市 / 山村 / 公共工事 / 都市構造 / 近代 / 士族 / 土地所有 |
Research Abstract |
具体的内容:(1)近世近代移行期における地方都市、および周辺地域の道路・学校建築を中心とした公共工事資料の収集の収集と整理(長野県内)。(2)林業・鉱業を中心ととした明治期の地域開発における大都市資本および中央集権的統治構造の影響の事例研究。(3)地方城下町の都市内部構造の変容に果たす土族の役割の分析。 (1)については従来のフィールドである長野県飯田市分をほぼ終了し、公共工事請負事業者、また長野県立歴史館所蔵分の調査に移っており、このうち飯田市の学校建築に関しては飯田市歴史研究所において発表(2007年)を行った。また、明治初年の座光寺村の事業を中心とした成果のまとめを2008年度日本建築学会学会誌に投稿する予定である。この分析により、近世期の在地土木事業との連続性、また、用材請負など地方から立ち上がる請負業の形態が地方都市空間形成に果たした役割がわかる。 (2)は明治初年の東京における石灰会社設立、長野県諏訪地方の山林開発と当時設立されたばかりの山林局の関係性を扱ったもので、東京都公文書館所蔵分からの成果については都市史研究会山里研究会発表会(東京大学)で発表したが、旧小野組・諏訪地方・中部森林管理局関係資料については現在調査を続けている。これにより、山村の変容が都市と無関係ではなく、近代的統治構造の中で新たな関係性を都市と取結ぶことによって進行する過程を明らかにする。 (3)に関して、法務局飯田支部に所蔵されている明治期の地籍図の撮影、及び地籍台帳の分析に着手した(現在継続中)。また、神奈川県横須賀市、東京都ほかの旧飯田藩士族関係資料調査に参加した他、士族関係資料「耳目集」の分析を進めた。この分析により、地方城下町の土地所有、利用変化がミクロレベルで可視的に捉えられることに加え、現在まで看過されてきた、払下地を所有し特殊な身分状態にある士族都市空間変容に果たした役割が具体的にわかる。
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Research Products
(1 results)