2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11640
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江下 以知子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員
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Keywords | 地方都市 / 都市構造 / 士族 / 近世近代移行期 |
Research Abstract |
今年度はまず前年からの継続的課題として長野県飯田市の近世近代移行期の都市構造の変化を示す資料の収集に当った。ただし当該期の都市構造の変化が旧飯田藩士への武家地払い下げ、およびそれに続く開墾事業と関連していることがわかり、その点に焦点を絞り込んで資料の収集をつづけた。結果として、修士論文で利用した飯田市所蔵の絵図の原本、および清書と思われる絵図資料を発見(現在整理中)し、当該期の都市構造変化に対し、士族の社会構造の変化、また政府により行われた廃城から授産事業にいたる旧藩に対する施策の地方都市構造に与えた変化を描出する図像的資料をほぼ完全にそろえることができた。また文献資料に関しては当該事業の主体となった授産会社の資料を閲覧する許可を交渉の結果得ることができ、図像資料を文献側面から裏づけ、18年度の研究のひとつの課題である事業の完全復元を行うことが可能となったと思われる。(現在会社のみならず、旧飯田藩士全体の個人蔵資料についても調査中である)。 また、本年は地域研究の国際化における意義を考えるため、ウィーンの欧州日本学会に参加し、日本の地域研究に関する欧米研究者の研究について知見を深めることができた。地域研究の地域への還元を考える際、国際的な視野で日本の地域がどのように捉えられるかを考えることは地域活性化への学的貢献の一つの課題になりうると考えられる。 また建築史学分野の調査として、飯田市歴史的建造物実測調査(夏・冬2回)、フランス南西部の3都市におけるバスティード(中世都市)実測調査に参加し、実物調査技術の習得に努めた。近世近代移行期の都市構造を考える際、西洋的要素と日本的要素の双方についての理解を進めることができたと考える。
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Research Products
(1 results)