2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11657
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
呉座 勇一 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 中世史 / 史料学 / 古文書学 / 日本 / 一揆 |
Research Abstract |
本年度は2年目に当たる。2005年10月に第38回日本古文書学会大会で報告した内容を基に作成、投稿した論文が『史学雑誌』116-1号に「論文」として掲載された。 2006年5月には鎌倉遺文研究会の例会で「親子契約・兄弟契約・一揆契約」と題する発表を行い、一揆契約の淵源を探った。この報告内容を文章化したものが『鎌倉遺文研究』第19号(2007年4月)に「論文」として掲載された。 また2006年9月には仙台市博物館を訪れ、同館学芸員の斎藤潤氏の案内で、同館所蔵の「伊達家文書」の一揆契状の原本を閲覧した。「伊達家文書」所収の一揆契状は、成巻されておらず、当時の形態が比較的保存されているので、史料学的に一揆契状を分析する上で好個の素材と言える。以下に所見の概要を述べる。「伊達家文書」所収の一揆契状は、伊達宗遠一揆契状と伊達政宗一揆契状の2通である。伊達宗遠一揆契状は署名と花押の墨色が異なっている。署名部分は本文と同筆なので、伊達宗遠本人が書いたのは花押だけである可能性がある。伊達政宗一揆契状は伊達宗遠一揆契状と比べて紙が薄く(斐紙カ)、裏打ちがしてある。更に袖の部分に本紙より少し縦長の紙を付け加えている。 政宗契状の本紙は、宗遠契状よりも縦・横ともに小さいが、袖に付け足された紙も含めて考えると、ほぼ同じ大きさになる。政宗契状の法量を宗遠契状と合わせるために紙を付け足したと考えられ、一時は両文書を巻子仕立てにする計画もあったと推測される。 更に、国人一揆研究および中世東国史研究の観点から、東京都あきる野市の三島神社・阿伎留神社の両神社が所蔵する武州南一揆関連文書の調査を行った。その成果の骨子は、2006年12月に千葉歴史学会中世史部会の例会で「あきる野の武州南一揆関連文書」と題して発表した。報告の内容は『千葉史学』50号(2007年5月)に「研究ノート」として掲載される予定である。
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Research Products
(3 results)