2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11661
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新美 亮輔 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 対称性 / 形状知覚 / 物体認識 / 視覚的注意 / 実験心理学 |
Research Abstract |
身の回りにある物体の同定に物体の対称性はあまり寄与していないとされている。では対称性は物体認識に関係ないのだろうか?物体は左右対称なことが多いため,対称性は物体の同定ではなく,物体の方向の認識の手掛かりとなっている可能性がある。複数の物体の相互関係を理解したり,道具を手にとって使用するような場合には,物体の方向を視覚的に認識する必要があるはずだ。そこで,心理物理実験により2つのアプローチで物体の視覚的方向認識の特性を明らかにした。 1つ目は,物体の相対的な方向の違いの検出に関するものである。昨年度の成果から,物体の正面あるいは後ろ方向の認識に対称性が用いられることが示されている。例えばカエルを正面から見た画像は左右対称だが,そこから右へ15度方向を変えたカエルの画像は非対称なので,両者の見分けがつきやすいと解釈できる。今回の研究ではグランドピアノのような非対称な形状の物体を用いて同様の検討を行い,正面や後ろ方向の認識に対称性が重要であることを実際に証明した。この成果は英語論文として国際専門誌に投稿中である。 もう1つのアプローチでは,実際にヒトが物体の方向をどれくらい正確に認識できているかを直接に調べた。物体を様々な方向で見た様子の画像を実験参加者に見せ,それらの物体がどのような方向を向いているように見えるかを回答してもらった。その結果,得られた回答と実際の物体の方向には一定のずれがあった。正面や真横,後ろ方向は正確に回答されていたが,斜め方向では回答にずれがあり,実際よりも横方向に偏って認識されていた。物体が自分の方を向いているかどうかの判断は容易だが,物体がどれくらい斜め方向かという判断は難しく,あまり重要な情報ではないのではないだろうか。この成果はVision Sciences Society第7回大会(2007年5月)において発表予定である。
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Research Products
(2 results)