2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11661
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新美 亮輔 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 対称性 / 物体認識 / 形状知覚 / 視覚 / 実験心理学 |
Research Abstract |
身の周りにある物体は左右対称な形をしたものが多い。ヒトの視覚的物体認識は,この物体の対称性をどのように利用しているのだろうか。これまでの研究でも,画像に含まれている対称な形状をヒトが容易に知覚できることが知られているし,また対称性が幾何学的な2次元形状の知覚にさまざまな影響を及ぼすことも報告されてきた。しかし,実際に日常生活で見かけるような物体(道具や動物など)の認知については,物体の対称性がどのように影響しているのか,きちんとした知見はなかった。昨年度までの実験研究の結果から,物体の対称性は物体方向の知覚に役立てられていることが示唆された。また,物体の同定(何の物体であるかがわかること)においては,予想に反して対称性の大きな効果は見られない結果となっていた。本年度はまず,これらの知見を整理・考察して国内外の専門誌に投稿,発表済あるいは審査中である。 総じて,物体が持つ対称性は,ヒトの視覚的物体認知に複数の影響をもたらしていることがわかった。ひとつは,対称軸の検出による物体方向や物体中心参照枠の把握であり,特に正面や上といった方向の知覚に寄与している。もうひとつは,対称性が持つ冗長性(左半分と右半分が相同であること)の影響で,これは物体同定に影響するものの,さほど大きな効果はないようである。これまでの物体認知理論では,物体同定においても対称性による物体中心参照枠の把握が非常に重要だと考えられていたが,それは誤りであることが示唆される。
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Research Products
(7 results)