2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11672
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲水 伸行 東京大学, 大学院経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 産業クラスター / マルチエージェントシュミレーション / 社会ネットワーク分析 / 組織論 / 意思決定論 / ゴミ箱モデル / ゲートキーパー |
Research Abstract |
本研究の目的は、産業クラスターのダイナミズムを、産業クラスターにおける情報の流れと意思決定を基軸に、モデル構築と実証分析の両面から系統立った説明をすることである。具体的には、「ゴミ箱モデル」を中心としたシミュレーション・モデルの構築と社会ネットワーク分析を用いた定量的分析を行う。 1.「ゴミ箱モデル」のモデルの再検証の成果 Coheneta1,(1972)によって提唱された「ゴミ箱モデル」のシミュレーション過程をビジュアル化しながら再検討した論文が『行動計量学』に掲載された。この論文では以下のことが示された。従来の研究では「未分化な組織では、意思決定への参加者がランダムに入れ替わり、問題を解決しない」と主張されていた。しかし、本論文の再構築の結果は、「未分化な組織では、参加者の顔ぶれは変わらず、問題を解決する(問題負荷が低い場合のみ)」ことがわかった。この結果は意外だったが、ビジュアル化したシミュレーション過程を実務家に見せながら議論をしたところ、実際のオフィス空間で似たような現象が観察されることが示唆された。 この結果は、オフィス空間での現象に止まらず、産業クラスターという地理的空間での現象にも十分適用可能なものだと考えられた。 2.実証分析に関する成果 東京城東地区の町工場や行政担当者に対するインタビューを実施した。また、調査の実施にあたり、関連する既存文献の収集及びサーベイの他、質問項目の洗い出しやブラッシュアップを行った。 3.その他のMulti Agent Simulation Modelの構築よる成果 Schelling(1971)とAxelrod(1997)のモデルを融合させたモデルを構築した。その結果、産業クラスター内の多様性が、立地する企業の密度といった要因で大きく変化するとの知見を得た。
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Research Products
(1 results)