2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11691
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田部 智子 (京極 智子) The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 国際法 / 国際経済法 / GATT / WTO / 繊維貿易 / 農業貿易 / SPS協定 |
Research Abstract |
本年度の研究では、昨年度に引き続き、研究課題であるGATT/WTO体制における繊維貿易の位置付けを明らかにするために比較対照する分野として選択した農業分野における国際貿易制度の変容の過程等について、より深めた検討を行った。 具体的には、昨年度行った、WTO発足時に締結された農業関連分野を規律する特別協定である衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)の制定の歴史及び関連する紛争処理の現状について、より焦点を絞り深く分析を進めることとした。SPS協定は、東京ラウンド交渉時に締結されたいわゆるスタンダード・コードを基としており、当該コードが農業分野に使用しにくかったという状況を背景として、農業交渉の一部としてウルグアイ・ラウンドにおいて交渉され、締結されたものであり、各国のSPS措置をとる権利を認めつつ、そうした措置が国際貿易を必要以上に制限することのないようにすることを目的としている。本年度の研究においては、昨年度に行った、SPS協定の位置付けについての学説の分析、起草過程の詳細な検討、並びに同協定の主要な規定である科学的正当性に依拠すること及び国際基準への調和の意味を明らかにするという研究を踏まえて、現在の紛争処理におけるパネル・上級委員会の解釈、特に科学的証拠とSPS措置との関係に関するSPS協定の規定の適用において比例原則を用いたとされる事例について、学説、起草過程及び条文の解釈の観点から詳細に分析し、これを本年度の研究の成果として論文にまとめる作業を行った。
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