2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11698
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
李 艶麗 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 写情小説 / 尾崎紅葉 / 知識人 / 梁啓超 / 呉〓人 / 情理の葛藤 |
Research Abstract |
平成18年度は次の段取りで研究を進んでいる。 1、日本の近代メディア状況を考察して、その中で『驥尾団子選を主要雑誌として着目した。小論『歴史に奇妙な窓を開く「画報」--明治十年代東京の諷刺雑誌「団団珍聞」「驥尾団子」について』を書いた。 2、「俗」文学の中で、更に分野を絞った。二十世紀前後の中日近代小説理論の出発及び最初に現れた文学現象--写情小説の考察を通して、中日近代知識人は「写情」の文学観、「個人身分」(女性際、家父長制、易性創作)、民族国家観におけるアイデンティティを探求する。近代写情小説の古典源流、近代の発展の脈絡を整理したうえで、近代転換期における知識人の状況と転換を研究する。比較研究をベースにして、もっと広い視野での東アジアの範囲で、代表的な二国が封建国家から近代国家へ歩む過程の中で、東亜文明と西洋文明との衝突と融合を考えている。 3、2の中の具体的な内容として、まず写情小説登場した政治的文学的世界的な背景、概念の定義、古代文学理論の源流を綿密に考察した。そして、近代小説理論が内包されている近代性と伝統性の二重性格を分析して、知識人の功利的と感情的な「情理」の葛藤を探求した。特に、梁啓超を代表とする知識人の状況と近代文化保守主義思潮について詳しく考察した。それと共に、西洋の最新の文学思潮と一致する坪内逍遥の理論には、古典の権威を発見した。中国の「無情の情場」と日本の「復古的写実主義」の写情小説には、ある種の共通点が見られる。すなわち、封建国家から近代への転換のなかで、同じく西洋と衝撃した中日両国は、自国文明を打ち出し、自国文学を作り出そうとした。 二十世紀前後の転換期に、梁啓超、呉〓人、西鶴熱、紅葉、復古派を例として、「儒文化」下の晩清知識人と明治二十年代の知識人の思想及び文芸美学の転換についての考察は、これから更に展開しようと考えている。
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Research Products
(3 results)