2005 Fiscal Year Annual Research Report
光ファイバネットワークを搭載した先進複合材構造動的健全性評価システムの構築
Project/Area Number |
05J11722
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西川 雅章 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 繊維強化複合材料 / 構造健全性 / FRP(Fiber reinforced plastic) / 衝撃負荷 / 損傷進展 / 数値破壊シミュレーション |
Research Abstract |
航空宇宙分野では,構造の軽量化が必須課題であり,Boeing社やAirbus社では既に主要な荷重を受け持つ一次構造に大幅に複合材料を適用し始めている.そこでは特に,高比強度・高比剛性なFRP(Fiber Reinforced Plastic)が適用されている.しかし,FRP積層板は層間破壊靱性が弱く,面外からの衝撃力により層間はく離が生じ,局所的に圧縮座屈が起きやすいという問題がある.そのため,一見健全に見えても,著しく低い圧縮荷重下で破壊が起きる.このような衝撃後圧縮(Compression After Impact, CAI)特性の低下は,FRPを航空機一次構造へ適用する際の最大の障害である.一方で,構造の軽量化の視点から構造強度に影響を与えない程度の微細な損傷を許容する設計が重要視されている.そこで,内部損傷を非破壊で検査し,構造健全性を評価する簡便で正確な手法が必要である.本研究では,衝撃負荷下を受けるFRP積層板の微視的内部損傷を,発生から進展まで常時監視する手法を検討している.そこで,このような損傷進展メカニズムを解明し,予測できる数値シミュレーションの構築を行なった.特に,このような数値シミュレーションは非線形性が強い為,得られる解に対する信頼性が低い.しかし本研究では,新たに,数値解析上非常に安定なダグデール型結合力要素を開発し,有限要素解析に組み込むことによって,容易にかつ精度良く,破壊力学に基づく損傷進展を扱える手法を構築した.本手法では,更新要素手法を用いて,損傷先端の応力勾配の大きいプロセスゾーンのみに要素の細分化を行なうことで計算コストの軽減化を図っている.これによって,材料内部のき裂が進展する経路を再現しながら,非常に短時間で計算できる.また,落錘衝撃試験を行い,損傷の様子を数値シミュレーションと比較した結果,実験結果をよく再現できていることを示した.
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