2006 Fiscal Year Annual Research Report
人工衛星搭載耐放射線・高速高信頼性計算機システムの設計開発
Project/Area Number |
05J11732
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳川 善光 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | Single Event Transient / 放射線試験 / スキャンパス / パルス幅測定 |
Research Abstract |
本研究では,強い放射線に晒される宇宙環境での使用に耐える高信頼性計算機システムを実現するため,放射線耐性の高い論理LSIの開発を目指している.今年度は,論理LSIの耐放射線化に関する以下の2点を行った. 1.論理セルで発生するシングルイベント・トランジェント(SET)のパルス幅測定:SETとは,放射線が論理LSI中の論理セルに入射して発生する過渡的な電圧パルスである.SETは記憶セルにラッチされるとエラー(データの反転)を招くため,フィルタ回路等で除去する必要がある.除去回路の設計にはSETのパルス幅が必要となるため,我々は0.2-μm完全空乏型SOIプロセスで作製したNOR論理セルに宇宙環境を想定した重イオン(40MeV・cm^2/mg)を照射し,発生するSETのパルス幅測定を行った.その結果,主として0.6nsの幅を持つSETパルスが発生することが明らかとなった. 2.論理LSIのエラー発生率評価用スキャンフリップフロップ(FF)の考案と実証チップの設計:論理LSIの耐放射線化を効率的に行うためには,エラー発生率の高い箇所に重点的に対策を施すのが望ましい.我々が昨年提案したエラー率測定手法は,多くの論理LSIにデバッグ用に実装されているスキャンFFを活用し,エラー発生率のFF毎の測定を目指したものであった.しかし,クロックサイクル毎に各FFの値を読み出す必要があり,試験の所要時間の面から実用性に問題があった.そこで今年度は提案手法を見直した上,エラー発生率の測定に適した独自のスキャンFFを考案した.これにより照射試験中のFFの読出し回数を劇的に減らし,試験時間の短縮を実現した.また,今回のエラー発生率評価手法の有効性を実証するためのチップを設計した.このチップは19年度中の放射線照射試験の実施を目標に,現在0.2-μm完全空乏型SOIプロセスを用いて試作中である.
|
Research Products
(2 results)