2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11736
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋田 義皓 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 磁気光学効果 / 非相反性 / 電気磁気効果 |
Research Abstract |
本研究はマルチフェロイックスやキラル磁性体などの時間反転対称性と空間反転対称性が同時に破れた系においてのみ発現する「光学的電気磁気(Optical Magneto-electric ; OME)効果」および「磁気カイラル効果」の微視的メカニズムを明らかにし、機能効率の向上やデバイス応用に向けた新しい物質設計の指針を提示することを目的とする。このような時間・空間反転対称性が同時に破れる系として、強誘電体に磁性を担う希土類イオンを添加する手法がOME効果の観測に有効であるという前年度の研究成果をもとに、今年度は希土類サイトを有する強誘電性結晶について同一結晶場環境下での希土類依存性、同一希土類での結晶場依存性、遷移の振動子強度依存性などに注目して研究を進めた。 希土類元素を含む強誘電性酸化物La_2Ti_2O_7に注目し、反転中心の無いLaサイトを磁性希土類がR^<8+>(R=Er, Eu, Nd)で0.5%程度置換したLa_2Ti_2O_7:R^<8+>単結晶を作製し、発光におけるOME効果の検証を行った。その結果Eu^<3+>の^5F_J遷移およびEr^<3+>の^4I_<13/2>→^4I_<15/2>遷移においてOME効果による非相反的な磁場変調スペクトルが得られた。電気分極の反転で磁場変調スペクトルの符号が反転することから、得られた磁場変調スペクトルがファラデー効果によるものではないことを確認した。一方でNd^<3+>の^4F_<3/2>→^4I_<11/2>遷移では、OME効果は観測されなかった。R=Erについて光の波数ベクトルk、磁場H、自発電気分極Pの相対的な角度を変化させ、k⊥Hを保ったままPとHの相対角θ_<PH>を変化させたときに、非相反性がΔI/I^∝sinθ_<PH>の依存性をもちk⊥H⊥Pのときに最大値をとることが分かった。また、P⊥Hのときにはk//Hの光に対しても対称性からはOME効果による非相反性の発現が許されるが、実際には結晶のキラリティの混合により観測されなかった。
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Research Products
(1 results)