2006 Fiscal Year Annual Research Report
放射光光電子分光によるULSI極薄ゲート絶縁膜の解析
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05J11750
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊田 智史 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光電子分光 / 放射光 / ゲート絶縁膜 |
Research Abstract |
今年度のテーマとして、角度分解光電子分光データを元にULSI用ゲート絶縁膜の深さ方向元素濃度分布(プロファイル)を解析するプログラム開発を行った。解析プログラムには最大エントロピー法(MEM)に基づくアルゴリズムを用いた。MEMを用いたプログラムは既に市販のものもあるが、基本的にはブラックボックスであり、解析技術として企業側が信頼して利用できないという問題があった。また学会等で、解析係数の決め方に関する質問も多く、人為的ではないかと批判されることすらしばしばある。そこで、解析プログラムを開発し、具体的にどのような解析を行なっているのかを明らかにするとともに、企業側が利用できる技術としてのフィードバックをめざした。本年度は解析技術の確立へ向けて、ゲート絶縁膜の典型材料であるSiO_2/SiN積層膜およびHfO_2/SiO_x積層膜について角度分解光電子分光データを取得し、開発したプログラムにより解析を行った。典型材料における積層構造の元素濃度分布を決定することができ、さらに化学結合状態を識別することにも成功した。深さ方向分析を行う常套手段として透過型電子顕微鏡やラザフォード後方散乱法などが挙げられるが、それらの手法では化学結合状態が識別できないため、本手法の有用性が期待される。これらの結果をプロセス依存性等から評価することでトランジスタ特性の劣化あるいは向上の理由を化学状態の観点から導きだすことが可能になると期待される。今後は、より複雑な三層構造のSiON膜やHfSiON膜への適用も考えている。企業側への解析技術のフィードバックとして、プログラムのパッケージ化も可能であれば進めていきたい。
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Research Products
(6 results)