2005 Fiscal Year Annual Research Report
放射光光電子分光によるULSI用極薄ゲート絶縁膜の解析
Project/Area Number |
05J11750
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊田 智史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光電子分光 / 放射光 / ゲート絶縁膜 |
Research Abstract |
放射光の特徴である高輝度性と波長可変性を利用してULSI用ゲート絶縁膜の化学結合状態、結晶化状態およびバンド不連続値の評価法を開発した。 半導体プロセスには熱処理工程が含まれている。熱処理を行うことで高誘電率酸化物材料はシリコン基板と反応し、シリコン合金化および結晶化が起こってしまう。それらが絶縁性を悪化させデバイス特性を劣化させるため、反応メカニズムの解明が強く求められていた。そこで、シリコン基板上に形成された、高誘電率材料ハフニウム酸化物およびジルコニウム酸化物薄膜を加熱し、化学結合状態変化を調べることで、シリコン合金化反応および酸化物の結晶化過程について明らかにした。また、次世代ゲート絶縁膜として有望視されるハフニウム-シリコン複合酸化物において、窒化処理によりシリコン合金化反応温度が向上することを明らかにした。本成果は新たな設計指針として絶縁膜形成プロセスへフィードバックされた。 絶縁性の良い薄膜を形成するためには、ゲートリーク電流のメカニズムを解明する必要がある。そのためにはリーク電流解析において重要なパラメータであるシリコン界面のバンド不連続値を正孔および電子に対して正確に求めなくてはならない。バンド不連続値は誘電率とトレードオフの関係であり、誘電率を高くするとバンド不連続値は小さくなる。従って、これまでのシリコン酸化膜よりも次世代高誘電率薄膜において、その決定精度が厳しく要求されるようになってくる。そこで、放射光光電子分光とX線吸収分光によりバンド不連続値を高い精度および高い正確性をもって決定する手法を開発した。まずはシリコン窒化膜に適用した。本成果において光電子分光のX線照射時間依存性に着目し、絶縁膜の帯電補正値を定量的に評価した決定法は新規である。今後、シリコン酸化膜および高誘電率薄膜への適用が期待されている。
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Research Products
(6 results)