2006 Fiscal Year Annual Research Report
島弧下マントルにおける交代作用に伴う揮発性元素の挙動に関する研究
Project/Area Number |
05J11760
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池端 慶 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マントル / かんらん岩 / 揮発性元素 / 交代作用 / 硫化鉱物 / 銅 / 同位体 |
Research Abstract |
1.ニュージーランド北島、北海道幌満岩体、オーストラリアビクトリア州で採集したかんらん岩の薄片を作成し、電子顕微鏡、EPMA等を用いて硫化鉱物の分布、組成を調べた結果、交代作用によって黄銅鉱などの銅を含む硫化鉱物が二次的に形成されていることが分かった。また硫化鉱物のモードと組成からバルク組成を計算した結果、揮発性元素である硫黄と銅の濃度が正の相関を示した。この傾向は伊豆大島火山のかんらん石中のメルト包有物の分析でも明らかになった。しかし、かんらん岩中の銅を含む硫化鉱物の種類や分布は産地ごと異なり、それらの起源、形成機構を特定することは非常に重要であることが分かった。そこで硫化鉱物中の銅の同位体比に着目してこれらを解明することにした。 2.上記の硫化鉱物は微小である。そこで、銅の同位体比を高精度、高分解能で決定する為、東京工業大学平田研究室のMC-ICP-MSとエキシマレーザーを組み合わせレーザーアブレーション法(LA法)により分析する方法の確立を目指した。まず、LA法に使用する硫化鉱物等の標準試料を溶液法で分析し同位体比を決定した。硫黄、鉄のマトリックス効果は、サイクロン型スプレーチャンバを使用すると影響しない事が分かった。亜鉛による外部補正法で質量分析計中の質量差別効果補正した結果、同位体比を0.1%以下の精度で分析可能となった。溶液法で同位体比を決定した標準試料をLA法で分析したが、精度は1%を超え、また同位体比も溶液法のものと一致しないことが分かった。これは、パルス幅が数十ナノ秒のエキシマレーザーでは照射されたレーザー光エネルギーが試料に吸収され、それが熱エネルギーに変換されて試料が融解して質量分別効果がレザースポットで発生する事に起因すると考えられる。そこで今後は同研究室に導入されたフェムト秒レーザーを使用してLA法による銅の同位体比の分析法を確立する予定である。
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