2005 Fiscal Year Annual Research Report
火星におけるガリー地形の形成機構と表層進化に与える影響の解明
Project/Area Number |
05J11761
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 徹之 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ガリー地形 / 流水地形 / 火星 / 雪崩 / 気候変動 / 自転軸傾斜角 / 粉対流 / 二酸化炭素 |
Research Abstract |
2000年に発見されたガリー地形は,近年の火星表層において流体が流れた痕跡を示す地形である.ガリー地形を形成した流体が水である場合,近年の火星地表付近に液体の水が存在したことになるが,一般的に現在の火星地表に液体の水は安定に存在しないと考えられている.発見から多くの形成モデルが提案されているが,未だ統一的な見解は得られていない. 本研究では,ガリー地形の分布的特徴から形成メカニズムを制約し,新しい形成モデルを提案した. まず,南半球のArgyre地域(0-60°W,20-70°S)における647個の衝突クレータの内壁をMars Orbiter Camera (MOC)で撮影された画像を用いて観察し,ガリー地形が存在する斜面の方位と緯度の関係を明らかにした. 結果は,極向き(南向き)の内壁にガリー地形が存在するクレータの約92%が44°Sより低緯度に存在し,赤道向き(北向き)の内壁にガリー地形が存在するクレータの約91%が44°Sより高緯度に存在した. 次に,この分布的特徴は,次の二つの制約条件によって説明できることを提案した. 一つ目は季節ごとに凝結・堆積する二酸化炭素氷の分布,二つ目は急斜面の分布である.二酸化炭素氷の分布は,斜面の効果を考慮した気候モデルを用いた計算した.急斜面の分布は,Kreslavsky and Head [2003]のFigure 5を引用した. 二酸化炭素氷が凝結する急斜面にガリー地形が存在するという結論に基づき,本研究では,ガリー地形は季節ごとに斜面上に凝結し堆積する二酸化炭素氷が雪崩のように崩壊し粉対流として流れることによって形成されるという,新しい形成モデルを提案した.
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