2006 Fiscal Year Annual Research Report
地球・惑星内部でのマントルや外核の対流現象の数値計算による基礎的な研究
Project/Area Number |
05J11763
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市川 浩樹 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 熱対流 / 数値計算 / マグマオーシャン |
Research Abstract |
今年度は、惑星初期のマグマオーシャンでの金属の分離の問題に取り組み始めた。その問題を計算するために、シリケイト-金属間の表面張力を含む二相流体の2次元の粒子法のコードを開発した。このコードを用いて、いくつかの数値計算を行い、興味深い結果が得られた。 マグマオーシャンでは、金属が1cm程度の液滴になって、シリケイトから分離し、落下していくと考えられている(D.C.Rubie et al.,2003)。Rubieらの研究の結果は平行流中の球の抵抗実験の値や、表面張力を持つ液滴の実験結果から、見積もられた値を用いて得られたものである。この現象を数値計算で扱った研究はなく、数値計算を行うことによって、初めてその現象の本格的な描像を得ることができる。本研究ではこの問題の再現計算を行った。 その結果、Rubieらの得た結果と同じく、金属の液滴が表面張力の効果により分裂し、1cm程度のサイズになり液体シリケイト中を落下していくことが確認された。なお、液滴の平均落下速度についても0.2m/s〜0.3m/sとRubieらによる見積もりと同オーダーの結果を得た。これらの平均量については、予想通りの値を得たが、流れ場は非常に複雑で、金属の液滴が衝突、合体を繰り返している様子が確認できた。このような複雑な流れは、計算前は予想することができず、非常に興味深い結果が得られた。また、数値計算をすることにより、液滴のサイズ分布や速度分布が得られた。これらの分布は数値計算によって初めて得られるもので、初期のマントルと金属核の化学物質と熱エネルギーの分配について議論するためには、重要な情報の一つである。平成19年度は引き続き、現状よりも大規模で長時間の計算を行い、化学物質や熱エネルギーの分配について議論する予定である。
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