2006 Fiscal Year Annual Research Report
海洋境界域における乱流混合の定量的な評価とその深層海洋大循環への影響
Project/Area Number |
05J11768
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩前 伸幸 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 鉛直乱流混合 / 内部潮汐波 / 潮汐残差流 / エネルギーカスケード / 海洋内部重力波 / 深層海洋大循環 / 潮汐-海底地形相互作用 |
Research Abstract |
ハワイ海嶺の中でも特に顕著な内部潮汐波の励起源であるとされているFrench Frigate ShoalsやKaena Ridgeを例として,内部潮汐波により引き起こされる鉛直乱流混合の強度とその空間分布を,非静力学モデルによる数値実験で見積もった.これまでの先行研究などから示されてきたように,内部潮汐波のエネルギービームに沿って,特に,海山の両側から射出されるエネルギービームが交差するところで,非常に大きいエネルギー散逸が見られるという計算結果が得られた.また鉛直平均した拡散係数の値は,Rudnick et al.(2003)の観測により示されたハワイ海嶺付近での鉛直乱流拡散係数の空間分布(水平方向の減衰の仕方)と,良い一致を示した. 潮汐流により励起される内部波の挙動をコントロールすると考えられる幾つかのパラメータに関して,理想化した海底地形の下で数値実験を行い,それぞれのパラメータに対する依存性を調べるとともに,得られた結果を2007年度日本海洋学会春季大会において発表した.これまで数値実験を行なったパラメータの範囲内では,得られるエネルギー散逸率に大きな差は見られなかったが,エネルギー散逸率の空間パターンなどはパラメータに強く依存していた.例えば,潮汐周波数が慣性周波数を上回る場合と下回る場合は,波の伝播の仕方に対応したエネルギー散逸率の空間パターンが見られたが,これは潮汐流の流速が小さいときだけであり,その流速がフルード数が1を超えるほど大きい場合は,潮汐周波数による空間分布の違いはあまり見られなくなっていた.
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Research Products
(1 results)