2007 Fiscal Year Annual Research Report
海洋境界域における乱流混合の定量的な評価とその深層海洋大循環への影響
Project/Area Number |
05J11768
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩前 伸幸 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エネルギー消散率 / 海底境界混合 / 深層海洋大循環 / 内部潮汐波 |
Research Abstract |
Eikonal approachという手法を用いて,海底の粗い地形の上で潮流により引き起こされる混合強度が,どのようなパラメータに依存するのかを調べた。水平波数・成層・緯度をパラメータとして変化させて実験を行った結果,結果として得られるエネルギー消散率は,砕波するパケットの波数が高く,背景の成層が強いときほど大きくなることが分かった。さらに,そのような状況では,エネルギー消散率の鉛直スケールハイトが短くなることが分かった。大循環モデルなどでしばしば用いられる500mというスケールハイトの境界混合を深層で引き起こすには1kmよりも小さい水平スケールの内部潮汐波が重要であることが分かった。また,これらの実験から,大循環モデルでしばしば用いられるような水平に一様なスケールハイトを持つ鉛直混合のパラメタリゼーションが不滴切であることを示唆した。 高解像度数値モデルとマルチビーム観測から得られた詳細な地形データを用い,Eikonal approachの結果がら示唆された水平1km以下のスケールの内部波の鉛直境界混合における影響を調べた。マルチビーム観測の地形と,2km以下のスケールを落とした地形の両方に対して数値シミュレーションを行い,結果を比較した。二種類の地形を用いた結果は大きく異なっており,詳細な地形データを用いた場合のみで観測に近いエネルギー消散率の鉛直分布が再現された。その実験では,水平1kmより小さいスケールの内部波の運動エネルギースぺクトルが,なめらかな地形の場合の10-100倍程度となっており,Eikonal approachで示唆された水平1km以下の内部波の重要性がプリミティブ方程式モデルにおいても確認できた。また,このような高波数の内部波の影響は浅海にはほとんど及んでいないことが,エネルギー消散と励起される内部波エネルギーとの割合を調べることで確認された。
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Research Products
(3 results)