2006 Fiscal Year Annual Research Report
渦巻銀河におけるパターン速度と星形成タイムスケールの決定法
Project/Area Number |
05J11769
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江草 芙実 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 銀河力学 / 星形成理論 / 電波観測 |
Research Abstract |
1、近傍渦巻銀河NGC6181の観測 現在チリに建設中の大型ミリ波干渉計(ALMA)の完成を見据え、これまでの解析対象よりも遠い渦巻銀河であるNGC6181のCO観測を野辺山ミリ波干渉計(NMA)において行った。距離が遠い分これまでよりも高分解能・高感度を必要とする観測であったが、2006年12月から2007年3月まで観測を行った結果、この銀河の分子雲の渦巻構造を始めて確認することに成功した。2007年度はこのデータとarm-offset法を用いてパターン速度と星形成時間を求める予定である。 2、データフィット方法の改良 arm-offset法で用いるデータ点の誤差として、これまではCOデータの空間分解能によるずれの大きさの不定性のみを考慮していたが、よりフィットを正確にするため、ずれと回転速度の両方の誤差を評価してフィットできるようにした。これにより結果として得られるパターン速度の誤差は以前より大きくなったが、従来の方法と比較しても得られる結果の信頼性が向上した。 3、適用銀河の拡大 上記の改良されたフィット方法を用い、3つの渦巻銀河(NGC4254,NGC4303,NGC5194)においてパターン速度と星形成時間を決定した。このうちNGC4303については測定点が少ないため結果の誤差が大きいが、残りの2銀河については誤差が小さく信頼できる結果が得られた。その2つの結果は星形成時間が4-5Myrの範囲で一致している。分子雲が重力により収縮する時間がおよそ6Myrなので、渦巻銀河における星形成は分子雲の自己重力によって支配されているという示唆が得られた。
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