2007 Fiscal Year Annual Research Report
渦巻銀河におけるパターン速度と星形成タイムスケールの決定法
Project/Area Number |
05J11769
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江草 芙実 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 銀河力学 / 星形成理論 / 電波観測 |
Research Abstract |
(1)野辺山ミリ波干渉計(NMA)と45m望遠鏡のデータ合成 昨年度までにNMAで取得した近傍渦巻銀河NGC4254のCOデータは、干渉計に特有のMissing Flux問題を抱えていた。これは、干渉計が拡がった構造に感度を持たないことが原因で、天体の全輝度がわからないという問題である。そこで、Kuno et al. (2007)によって取得された45m電波望遠鏡のデータとの合成を行った。このデータ合成は手法としてまだ確立されていない部分もあるが、今回のNGC4254に関してはMissing Flux問題が解決でき、干渉計の分解能と単一鏡の感度を併せ持つデータを得ることに成功した。 (2)12の近傍渦巻銀河に対するOffset法の適用 上記の観測データと、文献のデータなどをまとめ、12の近傍渦巻銀河に対してOffset法を適用した。これは、Egusa et al. (2004)で提案した、渦巻腕のCOとHαのずれを用いてパターン速度と星形成時間を決める方法である。 今回多くの銀河にOffset法を適用した結果、COとHαのずれの見え方は銀河によって異なることがわかった。この結果から、渦巻銀河を以下の3種類に分類した。(1)COとHαのずれがはっきりと確認でき、パターン速度と星形成時間が求められる銀河(C銀河)。(2)COとHaで腕がはっきり見えるものの、そのずれがほぼゼロである銀河(N銀河)。(3)上記2分類に当てはまらない銀河(A銀河)。本研究の12銀河では、4銀河がC、2銀河がN、6銀河がAであった。 C銀河の結果から、コローテーション半径は可視での円盤半径(R25)の約半分であることがわかった。また、得られた星形成時間から、腕での星形成は主に重力不安定性によって引き起こされていると考えられる。さらに金属量との相関から、重元素によって星形成過程が加速されている可能性も示唆された。 そしてCNAの3分類と他の物理量との相関から、A銀河は星の腕が弱いことがわかった。このことから、A銀河ではCやN銀河と比較して密度波が弱いと考えられる。
|
Research Products
(3 results)