2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11779
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 史拓 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 深層循環 / 北太平洋 / 水塊分析 / 海洋観測 / 下部南極周極水 / 北太平洋深層水 / 高塩分水 / 栄養塩分析 |
Research Abstract |
申請者はこれまで、西経165度の北緯9度から44.5度までの海域で実施されたCTD・採水観測のデータを、WOCE Hydrographic Program (WHP)で公開されているCTD及び栄養塩データと併せて解析することで、下部南極周極水がクラリオン水路を通って中央太平洋海盆から北東太平洋海盆に流入し、クラリオン断裂帯に沿ってさらに東進する事を示した。この解析では、北東太平洋海盆の北緯10度以南には中央太平洋海盆にある下部南極周極水よりも高塩分の水が存在することも明らかになり、クラリオン水路を通過する経路とは異なる経路でこの高塩分水が北東太平洋海盆に流入することが示唆されていた。本年度は、この比較的高塩分の深層水の分布を調べるため、太平洋赤道域におけるWHPのCTDデータの解析を行った。その結果、この高塩分水は赤道以南にも広がり、南ほど高塩分という分布となっていることがわかった。赤道以南の海域では、東太平洋海嶺付近の海底熱水活動によって高塩分化が起こっている可能性もあるため、塩分のみをトレーサーにして高塩分水の経路を決定することは難しい。そのため現在は、塩分のみならず酸素や栄養塩データも併せて解析しているところである。また申請者は、西部北太平洋における北太平洋深層水の特性と循環を調べるため、本年度の11、12月にシャツキ海膨以南西の海域で実施された観測航海に参加した。この航海では栄養塩分析を担当し、船上分析によってケイ酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩のデータを取得した。現在、この栄養塩データとWHPの栄養塩データおよび同海域で取得された係留流速計データの解析を進めている。
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