2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11779
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 史拓 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 深層循環 / 北太平洋 / 水塊分析 / 海洋観測 / 下部南極周極水 / 北太平洋深層水 / 北東太平洋海盆 / データ解析 |
Research Abstract |
申請者は、昨年度に引き続き、2003年に取得した西経165度線の北緯9度から44.5度までのCTD/栄養塩データとWOCE Hydrographic Program (WHP)のCTD/栄養塩データを解析して、北東太平洋海盆における深層循環の研究を行った。今年度で特に力を入れたのは、ハワイ海嶺南方の深層循環の記述である。今年度は、前述のデータを用いて海底付近のポテンシャル水温や塩分、溶存酸素の平面図を描き、これによりハワイ海嶺南方の深層循環流は東西流が卓越することが示唆され、またハワイ海嶺東方を北上する深層循環流はこの東西流に比べてはるかに弱いことも示唆された。これらの結果により、広大な北東太平洋海盆における深層循環流のイメージが徐々に明らかになってきた。現在申請者は、このような新たな知見を、これまでの研究成果とともに投稿論文にまとめているところである。また申請者は、これまでの研究によって北東太平洋北部に東西に連なるメンドシノ断裂帯に沿って、深層水の巨大なフロントが存在することを発見しており、現在はこのフロントの形成メカニズムを調べている。地衡流計算によると、西経165度においては、フロントの北側では西向き、南側では東向きの深層流が存在することがわかった。ところが、これより東側の海域にはこのような地衡流が認められない。これらのことから、西経165度よりも東の海域でフロントが維持されるために、フロント付近で流れが収束している可能性が考えられる。もし深層流が収束していれば、この海域は南からやって来た深層水が湧昇する海域となっているのだろう。この仮説を検証し、深層循環流の三次元構造を明らかにすることが次年度の目標である。
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