2007 Fiscal Year Annual Research Report
実験的手法による地震に伴う電磁気シグナルの発生メカニズムの解明
Project/Area Number |
05J11788
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桑野 修 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 界面動電現象 / 地電位差変動 / 自然電位 / 三宅島 / VLPパルス |
Research Abstract |
VLPパルスに伴って観測された地電位差変動は従来から界面動電現象を介した地下水流動による電流源の生成をソースに持つと考えられていたが、定常状態の記述に基づいた従来モデルではその地下水流動を駆動する物理的実体の理解が不十分で定量的なモデル構築が困難であった。そこでVLPに伴う体積歪の不均質への地下水応答が界面動電現象を介して遍在する電流源を形成するという物理モデルを提唱した。 地電位差データの再解析の結果、島内8ヶ所の全観測点でVLPパルスに連動する地電位差変動が捉えられていたこと、その振幅とVLPパルス地震波形振幅との間で明瞭な正の線形関係が存在することが明らかとなった。また、全てのVLPパルスイベントに対してスタッキングを行うことでさらにS/N比の高い地電位差波形データを得た。物理モデルに基づき、幾つかの点力源モデルによる電流源の分布と地表で観測されるべき地電位差分布を計算した。その結果、地表の電位分布に強く寄与するのは地下浅部の地下水流による電流源であり、従来考えられていた膨脹源ではソース直上が正の電位分布となり観測された地電位差分布を説明できないこと、地電位差変動をもたらすソースが透水率の良い地下浅所に存在する可能性が高いことが分かった。スタッキングで得られたSN比の高い地電位差波形の振幅分布を再現する力源モデルパラメタをインヴァージョンによって推定した。力源メカニズムを点鉛直開ロクラックと仮定してその力源パラメタを推定した結果、最適な力源の位置は火口南に位置する観測点st#5の直下、深さ約1200m、走向N50Eと決定された。この結果はVLPパルスのモーメントテンソルインバージョンで得られていた震源位置、走向と調和的であった。また、ゼータ電位や比抵抗などの周辺物理パラメタの取りえる値の範囲を考察し、VLPパルスの地震モーメントが10^17(Nm)のオーダーであれば物性的に現実的な範囲で観測値の振幅分布が説明できることを示した。
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Research Products
(3 results)