2006 Fiscal Year Annual Research Report
赤外線衛星観測に基づく星間ダストの物理状態及び生成・進化過程の解明
Project/Area Number |
05J11796
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
左近 樹 東京大学, 大学院理学系研究科天文学専攻, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 星間ダスト / 多環式芳香族炭化水素 / 赤外線衛星 / あかり / すばる望遠鏡 / 中間赤外線 / 近傍銀河 / 星形成領域 |
Research Abstract |
赤外線天文衛星「あかり」のマゼラン雲大規模サーベイの予備研究もかねて、IRAS、COBEを用いてマゼラン雲中の赤外放射の性質を調べ、若い星団周囲やCO分子雲中でのダスト放射が、異なる複写場環境下にあるダストの放射の重ね合わせによってほぼ完全に説明することに成功した。(Sakon et al. 2006,ApJ,651,174) すばる望遠鏡中間赤外観測装置COMICSを用いて、矮小銀河He2-10,IIZw40の超星団周囲でのダストの性質を評価し、各星団の輻射場環境や規模などの特徴を明らかにすると共に、PAHに着目して超星団間での化学進化の過程の違いを考察した。(Sakon et al. 2007,ApJ,投稿中) 大型望遠鏡地上観測ならではの高空間分解能を生かして、系内のHerbig Ae/Be MWC1080周辺でのPAH放射を調べ、UIR 11.0um feature強度が中心星周囲でのPAHの電離環境を反映して増加する事を観測的に明らかにした。(Sakon et al. 2007,Advance in Geoscience,採録決定) 「あかり」搭載近・中間赤外線カメラIRCによるスリット分光の解析に必要となるさまざまな補正手法の確立と評価を行った。それらの補正のもと、近傍銀河NGC6946のスリット分光観測データの解析処理を行なった。NGC6946のgalactic arm中の星形成領域とinterarm領域の両者が含まれるようにスリットをあてて、両者の中間赤外スペクトルを得ることに成功した。星形成の活発な部分で、UIRバンドのキャリアであるPAHの電離が加速すること、また、cluster化していたPAHが星からのUVによってfree-flying PAHを作る過程を観測的に明らかにした。(Sakon et al. 2007,PASJ,投稿中)
|