2006 Fiscal Year Annual Research Report
ガンマ線バーストと極超新星の発生機構及び初期宇宙の天体形成・化学進化の研究
Project/Area Number |
05J11811
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
冨永 望 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超新星爆発 / ガンマ線バースト / 元素合成 / 第一世代星 / 国際情報交換 / 中国:ドイツ:イタリア:アメリカ:インド |
Research Abstract |
本研究課題では、ガンマ線バースト・(極)超新星の発生機構の本質、またそれらを用いて第一世代星や宇宙の化学進化を理解することを目的として研究活動を行っている。本年度は特に以下のような研究を行った。 1.ガンマ線バーストと金属欠乏星の関連性 多次元相対論的流体力学・元素合成計算コードを用いて、(1)極超新星・ガンマ線バーストと金属欠乏星の起源となった超新星爆発が同様の爆発であったことを指摘し、(2)ガンマ線バーストジェットの性質の違いによって、それらのばらつきを同時に解釈できることを示した。そのことから、初期宇宙でも現在の宇宙と変わらず相対論的ジェットを伴う超新星爆発が起こっていたこと、超新星爆発・ガンマ線バーストの爆発機構を解明する手段として金属欠乏星の元素組成が有用であることを提案する 2.金属欠乏星の元素組成 1次元流体・元素合成計算を用いて、超新星爆発での元素合成を金属欠乏星の銀素組成の観測と比較し、金属欠乏星の組成が金属量の関数として示す傾向を超新星爆発の質量、爆発エネルギーの違いとして証明することに成功した。その傾向相関が非常によく、ずれの小さい元素があったため、宇宙初期から物質がよく混合されていたという提案がなされていたが、現在の超新星爆発から示唆される傾向(大質量星の超新星爆発ほど爆発エネルギーが大きく多量の鉄を放出する)が初代天体にも成立すると考えると、宇宙初期における物質混合を仮定せずに観測された程度のずれを再現できることを示した。このことは超新星爆発の爆発機構は、現在と初期宇宙で大きく違わず、少なくとも金属欠乏星の元素組成に寄与した超新星爆発は、十数倍〜数十倍太陽質量程度の大質量星であったことを示唆する。
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Research Products
(6 results)