2005 Fiscal Year Annual Research Report
深部低周波微動の定量的モデル構築によるプレート境界における物理過程の解明
Project/Area Number |
05J11814
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 祥 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 深部低周波微動 / 時系列解析 / プレート境界 / 沈み込み帯 / 低周波地震 / 脱水作用 / 国際情報交換 / アメリカ |
Research Abstract |
1.独立行政法人防災科学技術研究所において一時的に公開されているHi-net波形記録を恒常的に利用するために、安定的な収録システムの作成を行った。 2.KM_20-Langevin方程式論、平均散逸スペクトル法を用いて、2002,2003年に四国西部で発生した深部低周波微動の特徴的周波数構造の推定を行った。その結果、2Hz付近にピークを持ち、0.5Hzという一定周波数おきにピークが存在するという特徴的な周波数構造が得られた。同時に、減衰構造も推定された。この結果は、今後モデル化を行ううえで、大きな拘束条件となると考えられる。今後は、日本(フィリピン海プレート)以外の地域の深部低周波微動に同様の性質が見られるかを解析し、論文にまとめる予定である。 3.火山で発生している低周波微動とのアナロジーから、深部低周波微動の発生源として考えうるモデルについて検討を行った。考えうるモデルの一つとしてJulian(1994)による自励振動のモデルを想定し、簡易的なモデルを作成して得られた計算結果と実際の記録から得られた性質のモデルを想定し、簡易的なモデルを作成して得られた計算結果と実際の記録から得られた性質との比較を行った。しかし前述の特徴的な周波数構造を再現するような定量的モデルを構築するには、更なる検討が必要である。 4.Stanford大学のDavid Shelly氏,Greg Beroza教授,東京大学の井出哲講師との共同研究に参加し、四国において発生しており、深部低周波微動と関係していると思われる深部低周波地震の震源位置が、プレート境界に沿って面的に存在している可能性を考察した。 5.地球惑星科学関連学会2005年合同大会,2005年度日本地震学会秋季大会,2005 AGU Fall Meetingにおいて研究成果を発表し、当該分野における最先端の研究成果を吸収し、同分野の研究者と議論、交流を行った。
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