2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11822
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久松 康子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 液体キセノン / 国際研究者交流 / スイス:イタリア:ロシア:アメリカ / μ粒子稀崩壊 / MEG / 光電子増倍管 / 真空紫外光 / 吸収長 |
Research Abstract |
液体キセノンγ線検出器の内部に配置される構造物の最終設計を行った。本研究において、液体キセノンγ線検出器はγ線を高精度で測定する中核的な検出器である。液体キセノンより発せられる真空紫外光の観測によりγ線を計測する仕組みだが、キセノンに水、酸素などの不純物が含まれると、キセノンの吸収長が短くなり、γ線の計測が困難となる。即ち、キセノンが汚染されないよう工夫された検出器の設計が極めて重要であり、私はこの設計に携わった。具体例としては、真空紫外光を観測する光電子増倍管の背面の設計である。設計条件として、キセノンを汚染しない物質である事、光電子増倍管の動作を悪化させない物質で充填率を最大にあげる事、ガンマ線に対する放射長が長い事、等が挙げられる。これら条件を満たす物質として、アセタール樹脂とクオーツガラスを選定した。更に、これら材料と光電子増倍管を用い、液体キセノンの吸収長が悪化しない事確かめる為の実験を行った。実験には、8リットルの液体キセノン、真空システム、データ取得システムを用いた。真空システムやデータ取得システムには、本実験用の改良が加えられた。結果、液体キセノンの吸収長が大幅に悪化しないことが確認された。 更に、モンテカルロシミュレーションにより、解析技術の開発と、検出器の感度限界についての詳細な計算を行った。本研究においては、波形解析技術の開発や、γ線検出器内に配置された光電子増倍管からの信号を組み合わせて解析を行う、光量分布解析の開発が行われている。これらの解析技術により、優れたγ線の時間分解能とパイルアップ現象の同定が可能となる期待されている。私は、光量分布による解析の開発に着手し、波形解析と併せて検出器の感度限界を詳細に計算し、2年間に渡るデータ取得により、本研究が到達目標とする大統一理論の検証が達成可能である事を具体的に示した。
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