2005 Fiscal Year Annual Research Report
FINUDAスペクトロメータを用いたK中間子が原子核中に深く束縛した状態の探索
Project/Area Number |
05J11828
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤岡 宏之 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | K中間子 / 原子核 / 強い相互作用 / ストレンジネス / ハイパー核 |
Research Abstract |
イタリア・フラスカティ研究所にある電子・陽電子加速器DAΦNE上に設置されたFINUDAスペクトロメータを用いた実験の解析を行った。実験の主目的は、DAΦNEで電子と陽電子の衝突により生成されるφ中間子の崩壊に伴う低速な負K中間子を薄い原子核標的に静止させ、Λ粒子を含んだハイパー核の高分解能での分光を行うことである。またスペクトロメータは2πsr以上の大立体角を有するために、複数の粒子を同時に検出することが可能である。負K中間子が静止した点から放出されたΛ粒子(陽子と負π中間子に崩壊)と陽子の同時測定を行い、その2粒子の不変質量分布を調べることで、負K中間子と2個の陽子が束縛して質量が軽くなった状態が作られていることが分かった。また、同様のK中間子の束縛状態がほかにも作られている可能性を研究するために、スペクトロメータの最外層にあるシンチレーションカウンターを用いて中性子の検出も行い、標的から放出されたΛ粒子と中性子、負Σ粒子と陽子のペアなど様々なモードについても調べた。 また、2006年度からのデータ収集に向けて、スペクトロメータの最内層にある薄型のシンチレーションカウンターの改善を行った。より多くの負K中間子を原子核標的に静止させるためには、標的の手前にあるシンチレーションカウンターを既存のものよりさらに薄くする必要があり、カウンターが薄くなる分、光量が減少することになる。高磁場でも動作する光検出器を用いることで、光量子数は既存のものよりも増加し、実際の実験においてもトリガーシステムの一部として利用できることが分かった。
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Research Products
(4 results)