2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11832
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松浦 俊司 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 元素合成 / タキオン凝縮 / Black hole microstates |
Research Abstract |
1,宇宙初期のバリオン数非一様性は、現在知られているバリオン数生成機構において示唆されているだけでなく、様々な相転移など、宇宙初期を理解する上でも重要である。今年度は、このバリオン数非一様性から引き起こされるビッグバン元素合成を通しての重元素合成を計算するため、超重元素まで含めた元素合成の計算コードを整備し、計算をおこなった。その結果、バリオン密度が十分高いと超重元素まで生成される事が明らかとなった。また非常に驚くべき事にビッグバン元素合成はr-processとp-processが同時に起こるという、これまで天体現象等で全く知られていなかった現象で反応が起こる事が分かった。また現在起源の分かっていない陽子過剰核なども生成される事が分かり、元素生成起源の謎に対して新たな見方を与えた。 2,現在の宇宙は高次元時空中のブレーンに閉じ込められていると考えられている。ブレーンの次元はダイナミカルな過程によって現在の4次元になったと考えるのが自然であり、4次元宇宙の形成のみならず、コズミックストリング、バリオン非一様性を理解する上でも重要である。今年度はまずタキオン凝縮によってブレーンの次元が変わる状況を表す厳密解を探した。これによりタキオン凝縮によって、もともとのタキオンポテンシャルがより低次元のブレーンのテンションに変わる事が分かった。 3,ブラックホールのmicrostatesを理解する事はインフォメーション問題やブラックホール熱力学の問題において重要である。D1-D5システムの研究からブラックホールのmicrostatesがそれぞれホライゾンをもたない滑らかな幾何学でかける事が分かってきた。これをうけて、より一般のnon-BPS状態において、microstatesを近似的に構成した。これにより、BPS状態とnon-BPS状態ではブレーン近傍の古典解の様子が大きく異なる事がわかった。
|
Research Products
(1 results)